過去ログ - ∞木原式∞ 第一位のつくりかた
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577: ◆goBPihY4/o[saga]
2011/09/21(水) 01:45:27.04 ID:XOKLck0zo

意外だった。

もしかして気のせいかと思いながら後ろを見ると、確かに少女はその場にとどまり、
垣根が立ち止まるのを見つめていた。

「何だ」

尋ねると、彼女は一瞬黙りこみ、そして口を開いた。

「始めに言っておきますが、ミサカはあなたに頼みごとをしたり借りを作ったりする気は全くありません。
 そんな屈辱的な事はしたくありませんので。とミサカは前置きします」

「あ? ケンカ売ってんのか」

「……ただ、あなたは一度最終信号の命を救いました。あなたには知る権利があり、義務もあるとミサカは考えます。
 きっと知りたいでしょうから教えてあげます」

「何だ、早く言え」

「――最終信号が誘拐されました。ミサカの目の前で。
 現在ミサカ達は全力で捜索にあたっているところです」

平坦な声で、少女は言った。
しかし、どこか焦燥感を纏った声だった。

その声色で、彼女はつづけた。

「あなたにどうしろと言うつもりはありません、とミサカは補足します。
 知っておくべきだろうというミサカの独断です。放っておきたければそれでも――」

言い切る前に、少女の言葉は遮られた。

目の前の男に胸倉を掴まれ、喉が詰まったのだ。

「うぐっ……? は、な、……」

「全部話せ」

服を掴む手に力を込めて、垣根は低く唸るように少女を脅しつけた。

脅す気など毛頭ないが、少女にはそう感じられた。それくらいの気迫だった。

「知ってる事を全部話せ。いつだ? どんな奴だった? 攫った奴の顔は見たか?
 一言も漏らさずに情報を渡せ」

「っ第一位……」

「嘘があったら捻り潰してやる。洗いざらい話せ」

雨の中、第一位は怯える少女を睨みつけた。



かつてこの男のここまで感情的な表情を、見た事があっただろうか。

ひたすら冷淡に殺され続けた記憶しかない二〇〇三二号は、頭の片隅で場違いな事を考えていた。





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