631: ◆goBPihY4/o[saga]
2011/09/25(日) 01:08:54.43 ID:bVxhRllno
ダンスパーティーを眺めて悦に入る木原に、声を掛ける人物がいた。
「木原さん。コレ、何の意味があるんですか?」
おずおずと尋ねて来たのは、ヴェーラというコードネームの女性隊員である。
他の部下と同じように黒ずくめの装甲服に身を包んでいるので、見た目で性別は分からない。
女性的なのは声だけだ。
狂ったように踊る少女を見て、彼女はその声にわずかな嫌悪感のようなものを滲ませていた。
ヴェーラの良心は、木原のよりは多少上質らしい。
木原よりちょっと良い人なくらいでは何の自慢にもならないのだが。
「さぁー……何か侵入者対策らしいけどな」
上機嫌な木原は、部下のくだらない質問にも快く答えた。
普段であれば、無駄に話しかけられたらその瞬間に蹴り飛ばしているところである。
「侵入者ってのは、何者なんでしょうね?」
言葉を交わす二人の横から、別の部下が加わって来た。
この状況で雑談をしようというのだから、この男も大した人格破綻者である。
「警備員の無線を傍受したとこじゃ、たった一人で乗り込んできて、
主要な警備網はあらかた潰しちまったらしいですよ。
何でも、手も触れずに相手を叩き伏せるとか」
学園都市の現在の被害状況は、猟犬部隊もそれなりに把握していた。
ある日突然ひょっこり現れた女に、科学の街は手も足も出ず、一方的にやられっぱなし。
その内自衛機能は全停止するだろう。
今のところ攻撃されているのは人間のみだが、
機械を制御する人間まで抑えられたら、完全に屈するのも時間の問題だ。
その対策として、彼ら猟犬部隊はいたいけな女の子をいじめている……らしい。
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