632: ◆goBPihY4/o[saga]
2011/09/25(日) 01:10:47.57 ID:bVxhRllno
『侵入者』に襲われた人間の症状は、学園都市が持ついかなる兵器がもたらすものとも合致しない。
謎の現象だ。
健康そのものだった人間が突然倒れ、意識不明の重体になってしまう。
簡単に調べたところ、被害者は、体内の酸素が極端に減じているらしい。
人工的な仮死の誘発、という事のようだ。
しかも酸素ボンベなどで酸素を供給してやっても、症状は改善しない。
何らかの力でその状態が強制的に維持され続けてしまうのだ。
「いくら学園都市といえど、ここまでの事を一晩でやってのけるのは今の技術力では無理でしょうね」
兵器マニアの隊員が言った。
手を触れずに攻撃するとすれば、毒物かナノテク、電磁波あたりが『目に見えない物理現象』に当たる。
しかし、いくらそういった先端技術を使ったところで、酸素ボンベまで無視する仮死状態を作れるかというと、
ちょっとそれは無理だろうというのは木原もよく分かっていた。
「かといって能力者じゃねぇのは確かだろうな」
「むしろ能力者くらいじゃないんですか、こんな意味不明な事ができるのは」
「俺だから言うけどな」
超能力開発の専門家として、木原はこう切り出した。
「バラバラの位置にいる複数の人間に対してだ、
体内の酸素を一定に保ってさらに攻撃し続けるなんつー芸当ができたら
そいつはレベル5判定どころじゃねぇよ」
侵入者が仮に千人くらいいたとして、しかも全員が同じ能力を持っていて、さらに皆レベル4以上なら、
能力者だけでも可能だろう。
だがいくら何でもそれはない。
侵入者が一人、という情報を信じるなら、それは能力者以外の何かである。
もしくはレベル5。
「で、今学園都市に存在する六人のレベル5は、全員そういった能力には該当しねえ。
つまり侵入者は学園都市の能力者じゃねぇよ」
「……じゃあ、何なんです?」
部下の呟きのような問い掛けを、木原は無視した。
彼らのレベルに合わせて話をしてやるより、自分で考えた方が能率的だからだ。
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