675: ◆goBPihY4/o[saga]
2011/09/26(月) 01:15:36.90 ID:8uAP4Ydjo
何故もう解決したも同然のような顔をしているのだ。
原因が分かった所で、ここからが問題ではないのか。
それとも、魔術師からしてみればここから先は簡単なのか。
木原は疑問を口にせずにはいられなかった。
「ホドくったってよ、学習装置で刻み込まれた意識はそう簡単に元には戻らねえぞ」
「そう、頭の中にあるしがらみを取るには……『言葉』だね」
「言葉ぁ? 説得するってのかよ?」
急にカウンセラーじみてきた。
チチンプイプイだのやるのかとちょっと期待していた木原は、肩すかしを食らった。
「ちょっと違うけど、近いかな。特別な魔術を使う必要はないかも。
『結び目』に適合する言葉を選んで、聞かせてあげればそれでいい」
まさにその「特別な魔術」とやらを見たかったのだが、出し惜しみされてしまった。
思わず舌打ちしそうになって、木原は何とかそれを呑みむ。
「一番効率がいいのは、『歌』だね。リズムと音程を使って、多重に感情をやり取りできる」
「おいおい。人間の精神をいじくろうってなら、反復学習がまず基本だぞ。
ネットワークに介入するには対応するコードの入力が必須だし、
その場でにゃーにゃー歌った程度でどうにかなるわきゃ――」
「できるよ」
シスターの落ち着いた、澄んだ声に、木原は一瞬言葉を失った。
黙らせられた。そんな気がした。
「祈りは届く。人はそれで救われる。私みたいな修道女は、そうやって教えを広めたんだから!」
魔術師は力強く言った。
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