805: ◆goBPihY4/o[saga]
2011/10/05(水) 02:16:25.96 ID:RhjH7vgho
垣根は、目の前の光景に、ぽつりと呟いた。
「……何だよ、それ……」
白い少年は、こちらに背を向けたままのそりと立ち上がった。
項垂れて、その場に立ち尽くしている。
その背には、たった今発生した、大きな翼がはためいていた。
はためくというより、噴射に近い。濃い霧のようなものが翼の形状を取って、彼の背後に形成されている。
垣根の未元物質で作ったようなものとは明らかに質が違った。
どちらかというと、窓の外で見え隠れする例の化け物のものに近い。
部屋を埋め尽くさんばかりに広がるそれは、形だけ見れば、まるで天使のように神々しかった。
しかし、色が禍々しすぎる。
まだらで濃いグレー。
中途半端で醜い翼。
「テメェは何者なんだよ……」
一方通行が振り向いた。
木原を傷つけた垣根の方へ。
(な、ん、だ……奴の能力はベクトル操作のはず。何で背中からあんなもんが生える?)
(それに、何か、俺のよりも…………)
「――テメェが何者で、どんな才能に恵まれていようと! 選ばれた人間だろうと! ここで俺が負けてやるつもりはねぇよ!!」
垣根は立ち上がった。
膝が、足が悲鳴を上げた。
しかしありったけの力を込めて、脳のすべてを使って演算を開始する。
彼の純白の翼も、大きく広がった。
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