409:第D話―――絹旗「お、お邪魔しましゅ!」 香焼「い、いらっしゃい(・・・噛んだね)」[saga]
2011/09/10(土) 01:40:28.03 ID:VWpkMbpZ0
――絹旗side――
タオルやら何やらを出して貰い、香焼を追い出す。
風呂場は麦野のVipルームよりは小さいが、それでも一人暮らしのモノだと考えれば広いモノだった。
一応、シャワーやら機械やらを事前に確認し、服を脱ぐ。服を畳んでバスケットの中に入れた後、風呂場へ入った。
お風呂の温度はぬるめの方が助かるのだが……
絹旗「……良かった。熱くない」ホッ・・・
多分、彼が気を利かせてくれたのだろう。浴槽に全身を浸け、足を伸ばす。
絹旗「ふぁぁ」ググッ・・・
このくらいの広さが丁度良いな。麦野の借りる部屋に付いてくるバスルームは無駄に広過ぎる。
ふと、鏡台の方を見る。シャンプーボトルが1,2,3,4……7つもあった。
まぁ一人で5つのボトルを使う麦野に比べたら少ない方なのかもしれない。
絹旗「やっぱり……超……疲れました」フー・・・
今日は連れ回されたな。仕事以外であんなに人混みを歩いたのは初めてかもしれない。
感想はぶっちゃけ、楽しくはない。絶対に一人では出歩きたいとは思えなかった。
ただ、彼が頑張ってエスコートしてくれたおかげで、私は頑張れた。
絹旗「……超余計なお世話でしたけどね」フフッ
黒いスポンジを見る。
私は……一人では何も出来ない人間だ。いや『人間』ではないか。昔、研究所の誰かに言われたのは『機械』だったな。
機械は、スイッチを押してくれる人間が現れないと動けない。私は実際そうなのだろう。
絹旗「…………、」ブクブクブク・・・
彼の隣は心地が良い。自分が日蔭者だと忘れてしまいそうだ。
絹旗「超、猛毒ですよ」ハハハ・・・
以前、彼から『自分は猛毒だ(※)って言われる』という話をされた。
絹旗「私と一緒に……地獄の底まで、付いてきてくれますか?」ボソッ・・・
呟く。此処には居ない彼へ、救いの手を求めてみる。
絹旗「……なーんてね。冗談ですよ」クスッ・・・ザバッ・・・
そんな事、口が裂けても言えない。
それを言えば彼は必ず手を伸ばしてくれるだろう。だがそれは超能力者(麦野沈利)に楯突くと同然なのだ。
絹旗「大丈夫です……私は超最強ですから」スッ・・・
決してネガティブという訳ではない。仕事は仕事、プライベートはプライベートと割り切れる様になったのだ。
仕事が全てだった昔の私からしてみれば奇跡にも等しい成長。
きっかけは浜面だったが、滝壺さんを始め様々な人が手を繋いでくれる様になった。
絹旗「……香焼」ボソッ・・・
何故だろう。今日はヤケに、彼の名を呟いてしまう。
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