過去ログ - 【空中要塞】エースコンバットのSSを書くスレ【トンネル】
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/09/26(月) 21:55:00.31 ID:0L7jyUwKo
改行の関係で2スレになったけど投下!
コンクリートへハンマーを叩き付けたような鈍い音が響き渡る。
だが次の瞬間には湾曲した空気の層が大きく音を街中へ響かせる。
ぐわんぐわんと、揺れるように音が響く。近くで聞けば騒音のようなものだ。
だがこの街の住人は知っている。
その音の出所は誰もが知っている。
その音の美しさも誰もが知っている。
あれは自由の音だ。
開放の鐘が自由を祝福するために鳴り響いているのだ。
ここはウスティオ共和国首都、ディレクタス。
ウスティオ領中央部に位置していて、市内を流れるグレースケレ川に沿って5つの行政区画に分けられている。
街の中心部近くに建てられた鐘楼がこの鐘の音の出所だった。
ベルカ戦争当時、ディレクタスはベルカ軍の占領下にあったが1995年5月13日に連合軍及びその支援を受けたウスティオ軍により開放される。
それを祝い、夕焼けに染まる鐘楼は17時に決まってその美しい音色を街へと響かせていた。
私も、そんな鐘の音に耳を傾けることが日課になっている一人だ。
今から15年前のあの日、連合軍とウスティオ軍がこの街を奪還しにくるという噂は当時少年だった私にも鮮明に残っている。
それを信じさせるほどにベルカは負け続けていたのだ。希望を失った者が立ち上がるほどに。
あの当時、こんな歌が子供たちの中で流行った。
ベルカの兵士に向けて囃し立てるように私たちはこう歌っていた。
『さぁさぁ逃げろ、さぁ逃げろ♪“地獄の番犬”が食いつくぞ♪』
『地獄の番犬』 『ウスティオの傭兵』 『片羽』
そして『円卓の鬼神』
彼ら、“ガルム隊”の存在は我々にとってまさしくヒーローだったのだ。
青と赤の翼を戦場で並べ、精強なベルカのエースを叩き落す理想の英雄。
何とかして手に入れたウスティオ軍が戦意向上のためのプロパガンダとして発行した戦果を華々しく書き連なれた新聞。
その中に写ったガルム隊の2機の写真の切り抜きは私の宝物だった。
私たちは今か今かと彼らを待っていた。
そしてあの日、ウスティオ開放の日。
私はビルの屋上へと登っていた。この目で英雄の姿を見たかったのだ。
拾ったベルカ軍のヘルメットを頭に空を睨み付ける私はずいぶんと滑稽に見えただろう。
そんな私など関係ないように、戦いは始まった。
屋上から身を乗り出す。
2機の戦闘機と白煙を引いて飛び出すミサイル。それがベルカの戦闘機を落すのが見えた。
ジェットエンジンの音がヘルメットの中に乱反射して響く。戦争の音だった。
その音に恐怖を抱いた私は思わずヘルメットを投げ捨てる。
腰が抜けたのか勢いそのまま、尻餅をつくように屋上へと倒れた。
夕焼けの空が視界一杯に広がる。
まるで夕焼け空へ零したインクが点のように戦闘機の姿が見えた。
しばらくして鐘が鳴り響く。地上と空からは戦闘音楽が鳴り響く。
そのどちらも綺麗な音だと思う。どちらも開放を祝福する音楽に思えた。
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