10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/08/26(金) 08:23:56.24 ID:zwZ7UovJ0
商店街を通るときに、モナーは麻婆茄子のいい匂いの誘惑に負けてしまった。夜の商店街は賑わっていて昼とは大違いだ。ギコに例えると、昼にギコが暴れているとしたら、夜は銃を乱射しているようなものだろうと馬鹿なことを考えてクスッと笑っていた。正気を取り戻したトカゲはやはりポケットからモナーの顔を覗いている。
麻婆茄子のニオイのもとにたどり着くとそこは大きな中華料理店だった。店の横に看板の代わりにメニューがあったのでどれくらいの値段かなと見てみると1銀貨あたりのものばっかだった。例外として2銅貨のものがあったとしても2石貨のお小遣いしかないモナーには食べるのは無理に近かった。しかも麻婆茄子は8銅3鉄9石貨だった。バカバカしくなったのでモナーは早めに切り上げることにした。
家に無事到着するとポストにずぶ濡れの革袋が木に刺さっていた。モナーはそれを見てブワッと泣きながら中を確認すると何も無い。そしてモナーは泣きながら家に入った。
そしてモナーがただいまと言うと母が冷めたお湯を吊るされた裸電球が光って照らしている机の上においた。
「ごめんね、あなたが帰ってくるのが遅いから冷めちゃった、あとギコくんとモララーくんが――」
母、ガナーがその言葉の続きを言おうとするとモナーは泣き止み無表情で穴の開いたずぶ濡れの革袋を片手で持ってそれをもう片方の手で指さした。
「ポストにこれをご丁寧に届けてくれたと・・・」
「うん、そうそう」
母はギコとモララーがモナーの革袋が川に流されていたのでポストに入れておくと説明したそうだ。それを納得してしまうのも母も母だ。と、いつのまにか裸電球が光って照らされている机の上にフロットがいた。母はトカゲが大の苦手でトカゲなんてみたら失神しかねない!それほど母はトカゲが苦手なのだ。しかもフロットが冷めたお湯に舌を伸ばし始めた。まずい!はやく止めないと!母はスープのほうを振り返ると言った
「あら?なにかいたような気が・・・ってモナーか!」
母が納得すると母はもう眠ると言った。よかった、間に合った。と、モナーは母が眠る前に一つ気になることがあったので聞いた。
「お母さん、お父さんは?」
「とっくにバイトに行ったわよ・・・ファアァァ・・・」
母は欠伸をしながら答えた。モナーは納得して冷めた湯を飲もうと椅子に座った。そしてその直後フロットの舌がスープに届いた。同時にモナーの口の中に冷めたお湯の味が広がってきた。
(味がないモナ・・・今日はお湯だったモナか・・・)
と口に広がった冷め湯の感想を言うと皿にまたがってペチャペチャと冷め湯を舐め続けるフロットの方に振り向いて叫んだ。
「なんでお前が食べてるモナ!そしてなんでこっちにまで味が伝わるモナ!」
フロットは首を傾げながら黒い目でモナーを見つめた。そして寝室から母の声がした
「誰かいるの?」
声が大きかったようだ。モナーは母のいる寝室を向いて母に向かって誰もいないと言ったあとに大きい声で母に質問をした。
「今日はコンソメ多くするって言ってたのになんでコンソメが入ってないモナ!」
「あら?ゴメンね、気付いちゃた?コンソメ切れちゃったの!」
母は悲しそうな声で言った。モナーはその言葉を聞いたあと硬直した。
(そんな嘘だモナ!コンソメが切れるなんて・・・)
モナーは言葉にせずに心のなかで喋るとそのままバタリと倒れた。と、倒れた音に気づいてその後、こっちに来た母の悲鳴が目覚ましになった。モナーはしょうがなく気絶した母を寝室に戻してやった。しかし綺麗な部屋だな…その寝室だけなぜか木材が茶色で窓もちゃんと付いてるし温かい。唯一母の寝室だけがまともな部屋だったのだ。そしてモナーが気絶している間にフロットがすべての冷め湯を飲んでしまったことに気がついた。怒ろうとしたが腹が膨れていたのでフロットには何も言わなかった。裸電球の明かりを消すとモナーはそのまま2回の自分の寝室へ戻った。そこはポッカリと大きな穴が開いたところで、冬はいつも母の寝室でお世話になっていた。だけど今は夏だから都合がいい。
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