過去ログ - 唯「さわちゃんと過ごした日々」
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37:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[sage]
2011/08/28(日) 02:59:50.31 ID:7L728IKno

「何か知らない男の人と楽しそうに喋っててさ、とてもじゃないけど声掛けられなかったよ」

私は口をつけていたティーカップから唇を離し、「嘘」と呟いた。
その声は誰にも聞こえていなかったみたいで、私は震える指先を隠すように両膝の上に置いた。

「それ本当なんですか?」

「もっちろん。この目で見たからな」

嫌だよ。

「彼氏かな?」

やめて。

「多分そうじゃないか?あの年じゃ彼氏いないほうがおかしいくらいだよ」

聞きたくない。

「まあ、さわ子先生美人だしな」

どうして。

ねえ、さわちゃん。

「ちょっ……、唯?!」

きつく握り締めた両手が両膝の上で震えていた。
涙が零れないように唇を噛み締めていたはずなのに、それでも次から次へと涙が溢れてくる。

「唯先輩、どうしたんですか?!」

駄目だ。
ずっと隠してきたんだ。
この二年間、ずっと。

「ご……ごめんね、お腹痛くなっちゃって……」

「おい、大丈夫なのか?」

「保健室行く?」

「ううん……、大丈夫……ありがとう」

また一つ、嘘を吐いた。
本当に痛むのははお腹じゃなくて胸だ。
胸のずっと奥深くにある温かい場所に一気に冷水を流し込まれたような感覚だった。


結局その日の部活はお開きになってしまった。
みんなは最後まで私を心配してくれていたけど、私はずっと上の空だった。

帰り際、りっちゃんに明日の予定を聞かれた。
何もないと答えると「少し話がしたい」と言われた。



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