過去ログ - 唯「さわちゃんと過ごした日々」
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43:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[sage]
2011/08/28(日) 03:23:18.81 ID:7L728IKno

この部屋に入ったのはいつぶりだろう。
多分、二ヶ月も経っていないと思うけど、まるで何年も来ていなかった場所のようにさえ感じた。

さわちゃんはキッチンでお湯を沸かしていた。
ティーカップを二つ用意して、片方に角砂糖を三つ、もう片方に一つ入れている。
そして角砂糖が三つ入ったほうのカップにティーバッグを入れてお湯を注ぎ、温めた牛乳を三分の一くらいまで入れた。

いつもこうだ。
さわちゃんは二つのカップを準備するくせに、私のほうから紅茶を作る。

キッチンに立っているさわちゃんの背中は何だか寂しげに見えた。
少し前までは私が何か喋って、さわちゃんがそれに対してふざけて答えて……そして二人で笑ってたのに。

「練習は順調なの?」

さわちゃんが口を開いた。
どうしてここに来て部活の話になるんだろう。

「うん。頑張ってるよ」

違う、話したいのはこんなことじゃない。
昨日の私はちゃんと覚悟を決めていた。
なのに、本人を目の前にすると途端に何にも言えなくなる。

さわちゃんは紅茶の入ったティーカップを一つ、私の前に置いた。
いつものミルクティーだ。
そう……いつもの。

初めてこの部屋にきたときも同じものを飲んだ。
紅茶が苦くて飲めない、という私にさわちゃんはじゃあ多めに砂糖を入れればいいじゃないと言って角砂糖を三つ入れた。
私は入れ過ぎだとさわちゃんを咎めたけど、実際に飲んでみると美味しくて、素直に美味しいと言えなかった記憶がある。

その記憶も全部、さわちゃんと過ごした日々の中にある。

「……、美味しい……」

涙が流れる。
私は震える指先でカップを置いた。



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