50:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/08/30(火) 15:21:12.18 ID:qI3zpfXyo
気付けば、彼は夜の街を歩いていた。
本当にごく自然に、彼の意識は――あるいは存在と言い換えることもできるかもしれないが――唐突にこの場に現れた。
赤ら顔で大声を出すサラリーマンが夜の街を闊歩している。
凍てつくように冷え込んだ冬の街には大勢の人がいた。
人々は木から木へと飛び移る鳥の群れのように、店から店へ、道から道へ、歩いていた。
彼は雑踏にまぎれて街を歩いていた。なぜだろう。――なぜ自分はこんな場所にいるのだろう。
浮かんだ疑問を頭の中で練り回してみても、思うような答えは出なかった。
騒がしい夜の通りの中、彼は歩いていた。どこかを目指しているのだろうか? その答えを、彼自身持ち合わせていなかった。
思考は混乱をきたしている。――いや、思考だけではないかもしれない。
行動も、言葉も、思想も、あるいは運命さえもが、ひずみ、崩れかけているように思えた。
自分はどうすればいいのだろうと、彼はまた考えた。考え続けながらも、まだ歩いている。
どうしてこんな場所にいるのだろう。冬の夜の野外は、ひどく肌寒い。
彼は自分が厚着をしていないことに気付いた。何をやっているのだろう。本当に、何をやっているのだろう。
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