71:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/08/31(水) 19:26:23.85 ID:mBLofP+Zo
記憶が不意に蘇る。
劣等感、嫉妬、羨望。あいつはいつでもそうだ、と彼は思う。
自分が必死になっても手が届かないものを、いつも簡単に手に入れてしまう。
ずっと前からそう。いつだってそうだ。
暗い感情が渦を巻く。怒り、あるいは憤りとでも呼ぶべき感情が、彼の中で沸騰していた。
ずきり、と頭が痛む。これはやはり現実なのだろうか。それにしては現実味が薄い。
どうしてこんなところを歩いているのだろう。思い出せずに彼は立ち止まる。
近くにあったビルに背をもたれて溜息をつく。自分はひどく疲れている――ひどく、疲れている。
考える。
怖くないのだろうか?
街を歩く人々は皆、誰かと一緒に楽しそうに笑っていたり、一人で足早に去っていったりとさまざまだ。
そんななかに、自分のように恐怖に取り付かれた様子の人間はいない。
水槽の中の魚の群れは、一見群れのようでいて、その実ばらばらに動いている。
あれは小さな社会だと、彼は感じたことがあった。
彼は恐怖に襲われている。それを思うと夜も眠れず、叫びだしたいような気持ちになる。
なぜ自分以外の人間は平然としていられるのだろう。怖くはないのだろうか。
もしかして――この恐怖を感じているのは自分だけなのか?
――どれだけのことをしたって、いつか何もかも消えてしまうのに。
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