過去ログ - ほむら「――時間が止まればいいと思った」
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)
2011/09/02(金) 23:10:20.00 ID:P/0GCclAO
◆
「それでも――ありがとう。本当に助かったよ」
再度礼をいいながら、少女は自分へ起床を促した女性をあらためて観察する。
少女にとって、彼女は随分と奇異な人物だった。
まず目を引くのは、ポニーテールに結った美しいブロンド。その髪型に、一瞬だけ少女は友人を思い出す。白い肌と碧の瞳は西洋人特有のそれだ。穏やかな表情こそ浮かべているものの、形のいい双眸からは彼女本来の凛とした気質を感じることができる。
自分の容姿に自身のない彼女にとって、目の前の異邦人は直視するのが気恥ずかしいくらいの美しい人だった。
そして何よりも異質なのは、その身に纏う漆黒の軍装である。白いシャツに黒い外套とネクタイ、膝丈まである軍靴といえば該当する団体は一つしかない。
所属国はドイツ・ナチス、アドルフ・ヒトラーの私兵として語られる武装親衛隊――おそらく、その系譜の団体だ。
少女は軍事の知識に明るくない。とはいえ、今の時代に、軍服を着た外国人女性が街を出歩いていることは理解できる。
だがしかし、少女は目の前の女性を疑うようなことはしたくなった。
軍人としての彼女ではなく、道端に倒れていた自分に声をかけてくれた。
そんな優しさを持つ、一人の人間としての彼女を信じたかったのだ。
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