1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/09/06(火) 23:58:30.54 ID:AqklPYySO
「あ・・・」
「どうした、内田」
「いえ、なんでも・・・ないです」
知里は視線を泳がせた。なんでもないと言ったのに、その場を動かない。なにか言いたそうな、感づいてもらいたそうな顔を見せた。
「どうした?先生になにか用か?」
「い、いえ」
知里はなお、ちらちら視線を泳がせていたが、あきらめて、自席に戻った。足取りが重そうだった。
内田知里は、ショートカットの似合う、清潔な顔立ちの女の子だ。あまり大人数の前に出て人を仕切るのは得意ではないけれど、芯は強く、勉強も運動もよくできる。
2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/09/06(火) 23:59:25.80 ID:AqklPYySO
夏休み明けのホームルームの時間、友達の1人が知里を学級委員に推薦したときも、誰からも異論はでなかった。以来、担任からも友人からも信頼は厚く、知里自身、そのことを誇りに思っていた。
その日、知里は、休み時間友達との話に珍しく夢中になっていた。手をオーバーに振り回して、大声をあげ、おなかを抱えて屈託なく笑っていた。
そんな知里の顔がサッと変わったのは、休み時間終了のチャイムを聞いたからだ。
知里は友達との会話を打ち切ると、急いで教室の前扉に向かった。
3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/09/06(火) 23:59:59.47 ID:AqklPYySO
(なんであんなに早く来るの?いつもは10分くらい遅れてくるじゃない)
知里は心の中でなんども毒づいた。
(どうして?どうして・・・)
いくら膨れてももう仕方がない。担任は眠そうな声で教科書を読み出している。
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