54:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/09/11(日) 19:08:29.83 ID:JLg6k+zEo
テープは既にラジカセにセットされていた。
あとは録音ボタンを押せば自動的に録音が始まり私の周囲の音を広い始める。
梓(これを押して喋ればいいんだよね……えいっ)
録音ボタンを押すと中のカセットテープが回り出す。
何か口を動かさなきゃいけないと分かっていても何も出来ない。
おもわず停止ボタンを押してテープをとめ、ため息をつく。
梓(駄目だ、こんなんじゃ……この程度のことが出来ないでどうするの私!)
意を決してもう1度録音ボタンを押し、ラジカセを地面に置いて立ち上がる。
梓「えっと……ちゃんと声……はいってるかな?」
小さな声でそう言って、ラジカセの中を覗き込むと、テープが音を立てずに静かに廻っていた。
――ちゃんと声、拾えてるんだ……
それを確認すると、水平線の彼方に沈む夕日を見つめる。
いつの間にか私の顔から自然と笑みが漏れていた。
その笑みの正体が、夕日によるものなのか、それとも他の何かなのかは分からないけど。
ただ間違いなく言えるのは、以前の私ではありえない表情であるということ、それだけかな。
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