170:一年中が田上の季節[saga]
2011/11/20(日) 14:53:55.33 ID:ClHRfGVM0
視線の先に、微かに『何か』が唯達の視界に入って来た。
それは人の様ではあったのだが、胸から上しか見えなかった。だが『それ』は恐らくは匍匐(ほふく)している状態なのであろう事はすぐに判った。
そしてその人影は、まだかなりの距離があったが、ゆっくりとだが、確実に唯達に近づいて来ているのが判る。
唯「あずにゃんっ!!」
その姿が、まだはっきりと判らない内にそれでも唯は確信したかの様に、後輩の名を悲痛な声で叫ぶと同時に、それに向かって走り出す。そして、憂もそして和も唯に続いて駆け出していく。
唯「あずにゃん!!!あずにゃんっ――――!!!!」
その人影の姿がはっきりとしていくにつれ、その余りの姿に、唯は叫び憂と和は言葉を失う。そして、<その人影=梓>の元に駆けつけると同時に、唯は滑り込む様に、変わり果てた姿になってしまった、梓の身体を優しく抱き締める。
梓の顔は、血と汗と涙と土と埃でドロドロになっていた。口から下は、幾度もの吐血で血の色に染まっており、彼女の制服(ちゃくい)と、灰色の地面も所々、その血(いろ)に染め上げられていた。
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