96:一年中が田上の季節[sage saga]
2011/10/12(水) 08:30:59.99 ID:c+cJj/BG0
梓「……って、あれ?もしかしてあそこに見えるの、もしかして唯先輩っ?」
前方から近づいて来る人影にいち早く気づいた梓は、その方向を指差しながら皆に伝える。憂と和がこぞって梓の指差す先を見つめる。
その人影は、ゆっくりとだが確実に憂達に近づいて来て、次第にその姿もはっきりとしてくる。
その人影は確かに唯だった。良かった、無事だったんだ。と、皆が喜びの声を上げる。だが、その唯の様子がおかしい事に皆が気付き始める。そして、唯の表情がはっきりとわかるまで近づいた時、その彼女の表情(かお)に全員が戸惑いの表情を浮かべた。
唯は確かに無事だった。傷も無い様に見えたが、それは、灰色(あ)の世界で受けた傷はこの世界では外傷として残らないので、一概に無傷とは言えないのかもしれないが、唯はややおぼつか無い足取りではあったものの、身体そのものは今すぐどうにかなると言った感じは見受けられない。憂達が戸惑いを覚えたのは、その憔悴しきった顔だった。不安げで、弱り切って今すぐ支えないと折れてしまう。そんな表情(かお)だった。
そして唯はその『顔』を隠せぬまま、皆の前まで到達し、「ただいま」と、蒼白い顔で力無く挨拶をする。
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