730:1です。 ◆CIZA6sfEUc[saga]
2012/01/23(月) 23:56:29.62 ID:Qd1bhCzI0
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ふと、足場がなくなった。
「あ」
と、声に出ていたかどうかわからない。
のどが鳴っただけだったかもしれない。
次の瞬間、がさがさパキパキと枝の折れる音や葉の潰れる音にまみれながら体が転がっていた。
この下は沢だろう。
だけど、どれくらい下にあるかわからない。
(高低差はどれくらいだ)
転げ落ちながら閃き、僕は夢中で叫びながら何か掴もうと手を振り回していた。
結局何かにつかまることはできず、傾斜の最後まで落ちたらしい。
全身が痛い。
痛いなら生きてるだろう。
指は動く。
脚も曲がる。
まぶたは開く。
拳を作ってみると、ちゃんと力が入った。
(あ、やっぱり生きてる……)
頬の内側を歯で切ったらしく、口内が血の味で満ちていた。
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