747:1です。 ◆CIZA6sfEUc[saga]
2012/02/12(日) 23:40:56.46 ID:adFOyhlS0
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岩の下は足場が悪い。
みっともないけど、そろそろと降りた。
(志乃、どうしてるかな)
僕だって、憎まれてるだけじゃない。
家族がいる。お義姉さんだっている。
母猫の怒りはもっともだが、僕は帰らなければならない。
子猫の歩きかたがどうにも危なっかしいので、抱いて移動することにした。
転がり落ちた斜面を登るには視界が悪い。
このまま川を遡上していくことにした。
「にいちゃん、ぼく歩けるのにー。のにー」
「いいんだよ。一緒に母ちゃんのとこ行くんだろ」
「行くにょー」
「じゃあ、いい子にしててくれよ」
「ぼくっていい子ちゃーん」
「そうそう。お前はいい子だよ」
もう心細くなかった。
やわらかな毛の生えた額を撫でると、目を細めてあごを上げた。
絶対に、無事に届けてやるんだと思った。
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