821:1です。 ◆CIZA6sfEUc[saga]
2012/04/30(月) 11:43:41.87 ID:c0WcDUFg0
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「上木」
神田さんが、上木さんの席の前に立つ。
声が硬い。
上木さんは顔を伏せている。
「神田、私――」
「言わなくていい」
神田さんは手に持っていた本に挟んでいた紙を開いて、机に置いた。
志乃は身を固くしている。
「でも私」
「私も、思うことがないわけじゃない。私の足を引っ張るのは許せない」
「それは悪いと思ったよ! でも――」
「だから、言わなくていい。あんたは私の友達」
上木さんが顔を上げた。ここからじゃ表情は見えない。
「だから連れていく。入部して」
神田さんは、胸ポケットからボールペンを出して机に置く。
「私は何もあきらめない。あんたのことも見捨てない」
「……うっ」
上木さんは泣き出していたけど、多分悪いことじゃなかった。
周りが野次馬根性丸出しな視線を投げかけても、神田さんは背筋を伸ばしていたし、上木さんも納得しているようだった。
志乃と二人で、荒く息を吐いた。
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