978:1です。 ◆CIZA6sfEUc[saga]
2012/07/09(月) 23:12:31.03 ID:0NGliUKeo
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「あの子の時間は今、極端にゆっくり流れてるの。止まってるのと等しいくらいに」
「なんで、あんなこと――」
えづきながら訊いた。
「妹は、彼にかかっていた呪いに向かっていって、庇おうとしたわね」
「ああ、あんなの通り魔の亡霊以来ですよ」
鬼気迫る、といったやつだ。
「あの子が何を考えたのかは知らないけど、守りたかったのはわかる」
「志乃は口を開けたから――」
彼女は振り切るように叫んで突っ込んでいった。
(いや、たったあれだけの間に?)
「今回の呪いは強い。何を恨めば、あんなに強大なものが練れるのかしら」
「そりゃあ、わかりませんけど。憎くて仕方なかったんでしょう」
僕だって呪いを作った奴が憎い。
「話が逸れたわね」と、彼女は姿勢を正す。
「あの子、取り憑かれたかもしれない」
「かもしれないって――今までの被害者だって、命までは取られてませんでしたよ」
死人が出た今回の方が、イレギュラーだと思いたい。
「それは術者が真剣に殺したいと思ってなかったんでしょ。気合いの入りようが違うのよ」
「精神論は苦手です」
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