過去ログ - ほむら「あなたは……」 ステイル「イギリス清教の魔術師、ステイル=マグヌスさ」
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556:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[saga]
2011/12/25(日) 02:21:53.19 ID:B8b5GBRFo

 喜ぼうにも喜べないでいる杏子とほむらを肩越しに見やりつつ、ステイルは己の懐へと視線を落とした。
 彼の懐には穢れを限界まで溜め込んだ巴マミのグリーフシードがある。
 現在は厳重に封印しているが、時間が出来たら処分する予定だ。

 懐を見ながら、ステイルは薄っぺらい同情から言葉を吐いてしまったことに自己嫌悪した。
 魔女、ましてやワルプルギスの夜の使い魔が変貌しただけの存在が、
 いかに親しい者からの呼び声があったところで記憶を取り戻すことなどありえない。

 ステイルの判断が正しければ、あの魔女は己の習性に従ったに過ぎないはずだ。
 かつて巴マミの身体を手繰り寄せていたように、近くにいた二人を自分の下へ引き寄せようとしたのだろう。

 それは見ようによっては、生前何らかの事情で後悔した巴マミが、
 今度こそ後悔しないようにと手を伸ばし、大切なものを抱きしめて守ったように見えなくもないが……
 彼は夢想家である前に現実主義者だった。

ほむら「ステイル?」

 知らず知らずの内に唇を噛み締めていたステイルに気付いたのか、
 声に気づいて面を上げて左隣を見下ろすと、ほむらが彼の横顔を心配そうに見上げていた。
 肩をすくめて彼女の頭に手を置いてそのままくしゃくしゃっと乱暴に撫でる。
 不満そうに睨んでくる彼女を無視してステイルは前を向いた。

 彼の視線の先には、頭に包帯を巻いた建宮と、
 どこから拾ったのか無地のカーテンをマントのように羽織った五和がいた。
 二人はこちらの姿を確認すると微笑を浮かべてから力いっぱい手を振り始める。

建宮「おーい!」

五和「大丈夫ですかー!」

 暢気なその様子に苦笑して右手を振り返しながらステイルは彼らの背後へ視線を向ける。
 ステイルの赤い瞳に、巨大な魔女の姿が映りこんだ。

ステイル「……正真正銘、これが最後の戦いになりそうだね」

 というより、なってもらわないと困る。
 そんなステイルの呟きは、誰に届くこともなく空気の中に溶け込み消えていった――――――



 ――――――否。

 そんな彼の言葉を聞いたものは、いた。



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