過去ログ - ほむら「あなたは……」 ステイル「イギリス清教の魔術師、ステイル=マグヌスさ」
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(神奈川県)
[saga]
2012/03/18(日) 02:10:52.84 ID:HhynQx1uo
――事前に覚悟していたような、分かりやすい苦痛は訪れなかった。
「……っ」
ただ身体中が焼けるように熱く、砂袋を何重にも背負ったような重圧が身体に圧し掛かっていた。
それ以上のことは、まどかには何も分からなかった。
痛覚が麻痺しているのか、それとも夢の中なのか、それすら分からない。
ただ彼女は立ち上がれと自分の身体に命令を下して、身体がその命令に応えた。それだけでも十分だった。
ぐっしょりと赤い血で湿った靴ごと、右足を一歩前に運び出す。次は左足。右足。
「どうして?」
耳に届く疑問の言葉。
声のする方に体を、目を向ける。
その先には小さく白い、キュゥべぇの姿があった。
「どうして君はそこまで出来るんだい?」
どうして。
考えるまでも無い疑問に対し、それでもまどかは優しい笑みを浮かべて返答した。
「私が、そうし、たいから……ほむらちゃんのこと、助けたい、から」
体が熱い。
「わた、し。見たから……あなたと一緒に、あの光、の……向こ、で」
でも歩みは止めない。
「ほむら、ちゃ……これまでの、ぜんぶ、見たから」
「それじゃあ君は、本当にあれを見たのかい?」
こくりと頷いて、肯定する。
この場所を訪れる前。光の流れに身を任せた時。まどかは『彼女』の全てを見た。
「ぜんぶ……見たよ」
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