過去ログ - 一夏「鈍感なフリをするのに疲れた」
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649: ◆sWqJINogT.
2011/11/24(木) 02:24:56.73 ID:k1DK6tElo

 カチャッ……パタン。

 ドアを開け閉めする音が聞こえる。千冬姉が帰ってきたのだろうか。
 確認をしようとした矢先、ベッドに倒れこんでくる。
 おいおい……いくら疲れたといってもスーツのまま寝るのは、ってなんか腕を掴まれたぞ。

 「一夏……」

 俺の名を呼ぶ声が聞こえる。
 だが、だが―――この声は千冬姉ではなかった。

 「……ラウラ?」
 「む、すまないな起こしてしまったか」

 今寝ようとしたばっかりだからそれはいいんだが……。

 「なんでここに?」
 「夫婦が共にあるのは当然のことだろう」

 いやいや。

 「夫婦とか以前に俺がみんなと騒ぎを起こしたからここにいるんだって。それなのにラウラが来たら意味ないだろ」
 「問題ない、私はあいつらと違い無駄に騒がんからな」

 まぁ、確かにそうではあるんだけどさ。

 「とにかく。自分の部屋に戻らないと千冬姉に怒られるぞ」
 「教官とお前はこの1つのベッドで寝ているのか?」

 いや、話聞けよ。

 「そうだよ」
 「ふむ……ならば将来の嫁と私の姉となるお方で親睦を深めるのも悪くはないだろう」
 「だれがいつお前の姉になるといった」

 パシーン。
 噂をすれば影。出席簿アタックがラウラの頭を打つ。ってなんで出席簿もってんの?

 「出席簿ではないぞ」

 あ、ほんとだ。書類を挟んだファイルだろうか。

 「教官!」
 「ボーデヴィッヒ、いいから自分の部屋に戻れ」
 「……はい」

 うお、すげぇ眼光! あのラウラが一瞬にして委縮し、くるりと背を向け部屋を後にした。

 「はぁ……まったく」
 「ええと、お疲れ様?」
 「誰のせいだと思っているんだ貴様は。……まぁ、いい」

 いやーさすがに今のは俺のせいじゃないと思うぞ。だってキーロックかけてたのに入ってこられるんだぜ、どうしようもないだろ。

 「その、なんだ。お前はああいうふうに積極的に言い寄られるのは苦手なのか?」
 「ん? あー……俺は奥ゆかしい子が好きだけど積極的にアプローチをかけられる人はすごいと思うし、アリだとも思う」
 「……ふむ、そうか」

 俺の返答に納得したのか千冬姉はそのまま背を向け、シャワーへと向かって行ってしまった。
 そういや寝ようとしたところだったの忘れてた。寝るか。いったん寝かけてたから眠い。
 あーそういや千冬姉にスーツのこと言うの忘れてたな……ま、明日でいいか。
 おやすみ、千冬姉。



 快適そうに眠る弟を横目に彼女は呟く。

 「……アリ、か」

 僅かに愁いを帯びた瞳は、何を示すのか。
 それは誰にもわからない―――。




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