24:ブラジャーの人[saga]
2011/10/05(水) 03:55:56.93 ID:QBDpqJCD0
飛び起きて打ち止めの両手を拘束し、怒りと、よく分からない感情が渦巻いて、衝動的に彼女を睨みつけてしまった。
誰もが震え上がるであろう赤い瞳に睨まれても、打ち止めはただ戸惑うだけである。
(…あ、やっちまった……)
彼女とは逆に、噴出した感情の勢いも激しければ、それが引いていくのも早かった一方通行の方が焦った。
打ち止めの茶色い目に見つめ返されて、何も言葉が出てこない。
(ど、どうしたのかな?ミサカ変なこと言った?急にこの人が怒って…ない?あれ?……)
握っていた彼女の腕を離し、青年は気まずそうに目をそらした。分かったのだ、ここ数日自分の心が落ち着かなかった理由が。
いや、本当は最初から分かっていたが、目をそらしていた。今みたいに。
(情けねェ…。くだらない心配しちまってよォ。……くだらなく、ねェ、か……)
妹達にとって、上条当麻は特別だ。一方通行の実験を止め、命を救われただけではない。
生きる意味を与え、それぞれの個性を見いだせと説いた彼女達の唯一無二の存在。
そして、打ち止めも妹達だ。
不安、不快、心配、そして怖れ…
自分がいない所で、打ち止めと上条が親しくすごし、仲を深めることが、一方通行は怖い。
子供っぽい、でも深刻な自分の心理を理解してうつむいていたいた青年の顔を、少女の温かく柔らかい手がすくいあげた。
ふたたび見た打ち止めの目は、泣きそうでいて、笑っているようにも感じられる。それがだんだん近づいてきて、右の頬に唇が押し付けられた。
その優しさに、自然と瞼が下りてくる。
何度も、何度も。左の頬にも。
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