過去ログ - キャーリサ「明日も、大好きな彼と」
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1: ◆7oWiJj9WF6[saga]
2011/10/04(火) 21:41:04.91 ID:wSSiwEAO0
「寒くなってきたなぁ……」
すれ違う学生たちの服装を横眼で流しながら、一介の男子高校生、上条当麻はそう呟いた。
季節の移り変わりというのは年々早くなっていくように思えると、些か達観した考えを抱きながら街道を歩く。
「……」
学園都市というのは、超能力だとか、世界最高レベルの科学力だとか、聞く分には華やかなのだが。
実際には学生の街と言う理由で商店街などが早く閉まる分、冬の静けさは他の追随を許さないほどに寂しいものである。
「あっ!!…………今日の買い物、してねぇんだった!!」
上条当麻は本来、禁書目録という英国人のシスターと二人暮らしである。
しかし、シスターと呼ぶには少し年齢が幼過ぎると思われる彼女も、今は遠く離れた学校へ通う友人宅へと長期間行ってしまっている。
「……っと思ったけど……。俺一人が食べる分は確かあった気がする」
「いやぁ、暴飲暴食シスターさんがいないと楽だなぁ!!はははは!!ははははははは!!…………ははは……」
既に11月半ば。暦上では冬季という季節に入ってから既に一月以上が経つ現在、一人身というのはとても物寂しさを感じるのだ。
肌寒さと人恋しさ。二つが相まって、多少の強がりですらまともに吐くことができない。
「……帰ろう」
周囲を素直に見渡してみると映るのは温かそうな格好をした男女のカップル、カップル、カップル。
毎年毎年、この季節にはジリ貧になってしまう人種が沢山いるものである。
上条当麻もその一人で。今年も傍らに誰もいない冬を寂しく越そうとそう決意した。
「なーにをそんな腑抜けた顔をしているし……」
その時。
彼のそんな幻想は、一番大切な人の声と共に打ち破られるのである。
無機質な機械や住宅の蔓延る街中で、上条当麻の心に、一つだけ温かな光が灯った。
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