46:flag.01ガールミーツガールズ [sage]
2011/10/12(水) 02:13:21.77 ID:gJKA2Gdj0
☆☆☆
そのICレコーダーは客席から録音されたものだから、観客の熱気がよく伝わる。
「ギターの人うまいな」
とICレコーダーの演奏を聴き、短く感想をもらした梓。
だが、そのそっけない感想に反して、こみ上げてくる情熱が梓の心を燃やした。
高校受験を控えて、進路を考えているこの時期に、この演奏を聴いたのは自分へ
の天の啓示だと思った。
「これって、何部だったの?」
☆☆☆
だが、その梓が持ち出した学園祭ライブの話に、気恥ずかしそうに顔をほんのりと赤らめる澪。
「私、そのときから軽音部に入りたいと思っていました。 そのときの平沢先輩、
いや唯先輩のギターを聴いて、憧れました。 志望校を桜高に一本に絞り、軽音部に
入部することを夢見て勉強しました。 でも、でも入ってから、唯先輩は、とってもいい
加減な人で、怠け者とも思いました。 そんな、唯先輩と調子を合わせている律先輩もとっても
お調子者。 琴吹先輩もお茶ばかりの用意して、練習の雰囲気を壊していく。
入ってから、失望ばかりなのに、思い描いた高校生活と全く、違うのに――」
「――初めて聴いた時の情熱が心に残ったまま、新歓ライブの光景は残ったまま。
私、外バンを組もうかと思っても、軽音部の事ばっかり考えてしまう」
神妙な顔をして梓を見つめる澪。
「ご、ごめんなさい、先輩たちのことひどく言ってしまいました」
「ううん、梓の本心を知れてよかったと思っている。 本音ではなく、本心だ。
口は本当のことも、嘘のことも言うが、心は嘘つかない」
梓の肩にかかった髪の毛に触れ、梓のツインテールを整える澪。
そしてその手は、上にあがり、梓の頭をやさしく撫でた。
「秋山先輩、外バンをやろうとは思わなかったのですか?」
「梓、私は、外バンはやらないよ。 私はもともと、文芸部に入ろうと思ったんだ。
律の奴が強引に巻き込んで、軽音部を作ろうって言い出した。 紬が入り、唯が入部して、
軽音部が結成した。 律の奴、いいかげんだから部活申請用紙出してなかったけどな」
笑いかける澪。
「外バンは考えたことあるけど、この軽音部が何よりも大切だ」
「梓、今日の放課後必ず部室に来てくれないか? 梓も自分の本心がわかると思う」
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