過去ログ - 佐天「もう何も、私から奪わせるものか」
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14:と思ったら今日の投下分がもう少しあったので投下[saga]
2011/10/11(火) 02:31:13.32 ID:GCgBMSWlo
「……佐天さん……」

2人の姿が見えなくなると、私はそう呟いて、桜の木を見上げる
晴れていた空はいつの間にかすっぽりとぶ厚い雲に覆われてしまい、灰色の絵の具を盛大にぶちまけたみたいになってしまっている
それを見た私は、先程までの陽気な感情はどこかに消え失せて、長かった冬の寒さを未だに引きずっているような気分になる
舞い散る桜の花びらが屑々と積もる雪のように、暖かかった春を覆い隠そうとしている
そういえば、桜の木の下には死体が埋まっている、なんて話があるけど、あれはあながち間違いじゃないのかもしれないと思う
この桜という木には、桜という花びらには、どこか人を狂わせる魔力が宿っている、そんな気がする
そういえば、あの少女も花が好きだったか――――

「……佐天さん」

あの忌々しい事件より、既に1年と半分近くが経過しているが、彼女の心はまだ、冷たくて、寒くて、真っ暗な冬のままなのかもしれない
事件後すぐにどこかに失踪してしまい、1ヶ月程前にフラっと帰ってきたときに比べれば、笑顔を見せてくれる回数も多くはなっている
しかし事件以前の、周囲をも明るくさせるような100点満点のパーフェクトスマイルは1度も拝めていない

「学校、行こっかな」

私は、誰に聞かせるでもなくそう呟くと学校への道をまた歩き出す
今や学園都市の8人目と呼ばれるまでに成長して帰ってきた、佐天さんの事を思いながら――――



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