890: ◆tsGpSwX8mo[saga sage]
2012/01/04(水) 00:58:36.53 ID:oXCf2Zm80
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さやかが息を切らせようやく着いた上条の家は、異常の体を様していた
深夜だというのに全ての部屋が煌々と光を灯らせ、それだというのに物音ひとつ響いてこない
ただ人が起きていて、防音がしっかりしている。そうだというなら今の状況に納得もできるが
そうは思わせない明らかな異常がそこにあった
二階の窓ガラスに、大きく穴をあけられていたのだ
それにさやかは血相を変え、暴れる心臓をそのままに上条家の柵を乗り越え、玄関へと駆けていく
玄関に着いたさやかは焦った手でドアノブを捻るが、時刻は深夜、空いている筈がない
ここはダメだとさやかは判断し、庭へと廻る
そこにはさやかの身の丈ほどのある、リビングへと続く大きな引き戸式の窓ガラスがあった
急いでそこに手を掛けるが、やはりそこも開く事はない
そこでさやかは、決心したように頷くと、庭の花壇の方へと駆けて行った
そしてそこにあった大きな石を持ち上げ、思い切り窓ガラスへと放り投げる
すると窓ガラスは大きな音を立て、鍵の周辺に大きな穴を作った
そしてその穴に手を通し、鍵を開けると、さやかは窓ガラスを開け、その中へ侵入した
さやか「……っ!」
その中もやはり、異様だった
これだけ大きな音を立てたというのに誰一人、リビングに出てこない
そして、入った途端に襲う、先程まで嗅いでいた死臭
それらが、焦燥感を、悪寒を大いに煽らせる
さやか「恭介ぇっ!!」
死臭は、二階から漂ってくるようだった
死臭に顔をゆがめながら、さやかはそれが漂ってくる方へと足を向けた
階段を登るたびに濃くなっていく臭い
さやかはそれにえづきながらも、必死と足を進める
臭いの元はもうすぐそばまで来ていた
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