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2011/11/13(日) 23:28:48.32 ID:x0RYZ4oc0
 「仰る意味が、良く分かりませんが」 
  
 「いやーだからさ、大目に見てくんねーかなって」 
  
 トレインは変わらず人懐こい笑顔のまま、堂々と図々しく言い切った。 
  
 盗人猛々しいを体現した様なその有り様に、黒子の眉根は寄り目元が引き攣る。 
  
 「出来ない相談ですわね」 
  
 突き放す様に、一段声を低くして黒子は言い放った。 
  
 取り付く島も無いその雰囲気にトレインは頭を掻きながら苦笑う。 
  
 「……しょーがねーか」 
  
 諦めた様に呟いて、トレインは黒子の方へ向き直る。 
  
 変わらぬ笑顔。しかし先程までとは明らかに違う色を湛えたその表情に、黒子はその意図を悟った。 
  
 「その能力じゃあ逃げるってわけにもいかなそうだしな。相手になってやるよ」 
  
 猛烈に密度を増していく空気の中で、黒子は考える。 
  
 自身の能力をあっさりと見抜かれた事、それは大した問題にはならない。 
  
 無論、先制攻撃で決着が着けばそれに越した事は無いが、彼女の能力は看破されても応用が効く。 
  
 むしろ能力への警戒心を逆手に取ってやればいい。 
  
 冷静さを取り戻し、頭が冴えてくるのを感じながら、黒子はずっと躊躇っていた一歩をようやく踏み出した。 
  
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