34:1[sage]
2011/10/19(水) 23:57:52.00 ID:LfZrfi6K0
「!?」
予期せぬ方角から声を掛けられ、美琴と初春は留め金の外れたバネ細工の如き勢いで振り返った。
その先にいたのは、涙子と共に路地へ入って行ったはずの、ダークブラウンの髪のツンツン頭。
「どーりで妙な感じだと思ったぜ。興味本位で追っ掛けてるって気配だったしな」
二の句の継げない美琴と初春に構わず、トレインは合点がいったといわんばかりの表情で一人納得している。
「空間移動能力者!?」
美琴の脳裏に真っ先に浮かんだのは、彼女のルームメイトである白井黒子。その能力。
一瞬で物体を別の場所へ移動させる能力は、確かにこの状況に当て嵌まる。
「テレ……なんだそりゃ?」
だが、当の本人は初めて聞いた、と言わんばかりの顔で聞き返して来た。
「……あんた、能力者じゃないの?」
「あぁ、そういやここの学生は何かすげー能力使える奴がいるんだっけか。忘れてたぜ」
美琴の質問を聞いて思い出した、と言わんばかりにトレインは指をパチン、と鳴らした。
その様子は虚言や演技には到底見えず、ここで美琴は彼が能力者であるという思考を頭から取り除いた。
だが、それは根本的な解決にはつながらない。
能力無しに、彼が彼女達の後ろから姿を現したカラクリを解く事は出来なかった。
「……あんた、何者?」
自然と美琴の質問は抽象的になり、その警戒心を隠そうともしない声音にトレインは迷う事無く答えた。
「自由気ままでその日暮らしの、ただの野良猫だよ」
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