過去ログ - アイリス「さよなら、ジャンポール」
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17:ny[saga]
2011/10/19(水) 21:12:59.49 ID:oNEfTHUU0
「そうだ。
強い風でジャンポールが河岸に連れて行かれたから、アイリスが霊力を使って自分の所に戻したんだ。
でも、それくらいならいつもの事だしなぁ……」
「ううん」
大神の言葉は、アイリスに否定された。
押し殺された声で、辛そうにアイリスは続けた。
「アイリス、おぼえてる。アイリスが霊力をつかったときに、男の子が見てたの」
大神もそれは覚えていた。
突然宙に浮いたジャンポールを見て、不思議そうな顔をしていたあの時の少年。
だが、その少年が何だと言うのだろう。
「アイリスね、その男の子を見たとき、身体がすっごくあつくなったんだ。
アイリスはおぼえてないのに、アイリスじゃないだれかがおぼえてるみたいに、
どこかでみたようなきがしたんだ。
そうしたら、アイリスの身体がかってにうごいて、空をとんだり、地震をおこしたり……。
だからね……」
震えて、アイリスは涙を流していた。
大神は頭に手を置いて、落ち着かせるよう撫でてやった。
だが、もしそうであるならば……。
「隊長」
レニがアイリスの顔を辛そうに見つめつつ、吐き出すように言う。
「これから言うのは、ボクの仮定なんだけれど……」
「ああ、構わない」
「アイリスが、昔、半分幽閉された状態で生活していたことを、知ってるよね?
だけど、全ての現象にはきっかけがある。
そう。当然だけど、アイリスが幽閉されるきっかけになった事件も、あったと思うんだ。
それが何かはアイリスも憶えてないだろうし、些細な事かもしれないけど、
トラウマというものはそういうことから起こる。
もしかしたら……、もしかしたら、だけれど、アイリスが幽閉されるきっかけは、
霊力をたまたま使ったときに誰かに見られてしまったからとは……、考えられないかな?」
「つまりは……」
珍しく、さくらが会話に口を挟んだ。
「今回の場合はたまたま男の子が見ていた。
偶然かもしれないけれど、それがアイリスの心にひどく衝撃を与えるものだったかもしれない。
って事よね?」
「……そうだね。そうなるかな」
言ったが、しかし、言った後、レニはかぶりを振った。
「いや、そうとは限らない。
別にアイリスの心に衝撃を与えるものでなくても構わないんだ。
事実、アイリスは何も分からなかったって言ってる。
つまり……、アイリスの中の誰か、
その誰かが目覚めるきっかけとして受け取れば、それだけでポルナレフは発現する」
「誰かって……、やっぱりあの厭な男ですかー?」
「その辺りはボクにも分からない。ポルナレフかもしれないし、他の人格かもしれない」
レニの言葉を聞きながら、大神は少し項垂れたようになった。
もしもレニの言葉の通りだとするならば……。
「すまない、みんな。俺の管理責任だ。
俺がアイリスの霊力に気を配っていれば……」
その通りだ。
レニの言葉が正しいのなら、完全にアイリスに注意していなかった大神の責任である。
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