過去ログ - アイリス「さよなら、ジャンポール」
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46:ny[saga]
2011/10/24(月) 21:15:16.06 ID:Ie10TeSW0
予期していなかった言葉だったのだろう。
『ポルナレフ』は動揺したらしかったが、すぐに平静の顔となった。
「そう言われると嬉しいが、やっぱ俺は統合するよ。
分かれたものは、一つになった方がいいのさ。
元通りが一番だ」
「そうか。残念だな。
君とはいい友人になれそうだったんだけどな」
その言葉は本気だった。
『ポルナレフ』は敵対した仲だったが、憎悪はない。
分かり合えるものならば、友人として生きていくのも悪くないと思えるほどだった。
だが、やはり『ポルナレフ』は決心を曲げないようだった。
彼が統合する前に、大神はどうしても訊きたいことがあった。
『イリス』をもう恨んでいないのか、という事だ。
『ポルナレフ』は複雑そうに微笑んだだけで、何も答えなかった。
彼にも分からないのだろう。
自分に全てを押し付けた『イリス』。
だが、結果的に自分を護っていた『イリス』。
それくらいで許せるわけがない。許されるべき事ではない。
それでも、『ポルナレフ』は少しだけ、彼女の真意を知る事で、
『イリス』を許す事が出来るようになっているようだった。
少しだけだったが、それは大きな一歩だったのだろう。
少しでも人を許せれば、人間は根本的に他人を憎悪できないものだ。
無論、完全無欠に許せない事もあるだろう。
それはこれからきっとアイリスの中で、答えを探し続けるのだろう。
それが『ポルナレフ』の出した一つの答えだった。
もう一つだけ、彼は言った。
『アイリス』は『ポルナレフ』よりも数倍弱く作られたはずだった。
故にあれほどまでに精神的に強く生きられるはずがなかった。
だのに、『アイリス』は『ポルナレフ』の想像以上に強かった。
それはいい仲間、いい恋人に恵まれたからだろうと。
強くなった『妹』の成長を、無駄にするのが嫌だというのも統合の理由だと。
そう彼は語った。
そうして、『ポルナレフ』と大神は握手を交わし、それで終わった。
これから『ポルナレフ』は大神の知らない道を歩き続け、答えを探しに行くのだ。
己の選んだ事。
己のしなければならない事を探しに。
最期に一つだけ、
彼は、『妹』を傷付けるなよ、とだけ言って消えた。
当然だった。
大神はこれから小さな恋人と歩き続け、守り続ける。
きっと。
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