過去ログ - 女騎士「姫の自慰を目撃してしまった」
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51:『Her Knight in Their Nights』 ◆k6VgDYkyGI[saga]
2011/10/21(金) 22:04:02.92 ID:aYv84ioOo
私は腰に差していた短剣を抜いて、青年の首を縦に割いた。
動脈を狙ったつもりだったが、手元がふらついてわずかに右に逸れたようだった。

青年は悲鳴を上げ、席から転がり落ちた。
私は青年に飛びかかって馬乗りになり、顔を五指で押さえつけると、
首にできた裂け目から指を突っこんで動脈を掻き出した。真紅のワインが飛び散り、私の顔にかかる。

お前如き下賤の者が、姫の名を語るな。私は青年に言い放った。
今度姫の名を口に出したら、これを引きちぎる。
私が指に力をかけると、青年は泣きながら何ごとか喚き散らした。獣が絶命する時の断末魔。

いいか、よく聞け。姫は私の代わりを見つけるだろう。私は使い棄ての駒なのだから。
姫は新しい仕合わせを見つけるだろう。姫はそうあらねばならないのだから。
しかし、やはりお前のような人間は死ぬべきだ。
私のような無価値な人間に姫のことを尋ねるなど、万死に値する。

私は明確な殺意を持って指に力をかけたが、それを客のひとりが止めた。
私の指は強い力で引き剥がされ、青年の動脈は解放された。かと思うと、今度は別の客
――店主だったかもしれない――に、羽交い締めにされ、私はそのまま青年から引き離された。

すぐに、青年は誰かに支えられて外へ出て行った。
そして、それを見届けた私が筋肉を弛緩させると同時に、私を取り押さえていた人間の力も弱まった。

すまないな、面倒をかけた。
そう言って、よろよろと立ち上がると、後ろ髪が顔にかかった。
水を滴らせていた髪は、いつの間にか髪が殆ど乾いていた。

あるだけの貨幣をカウンターに置くと、私は自分の物でなくなった両足をどうにか動かして、
己が前後不覚になっていることを理解しないまま、薄闇の酒場を抜け出した。

外では雨が上がっていて、夕日が眩しいくらいに輝いていた。
その時、橙色の陽光に包まれた私の頬に、ふと何かが流れ、そのまま口に入った。
恐らく彼の返り血だったろうと思うのだが、それが何だったのか、どうしてもよく思い出せない。


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