109:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:20:15.50 ID:CGXDMCHp0
「マインドスイーパーだと思うけど、見つけたよ。トラウマに捕まってる」
汀がそう言うと、マイクの向こうで圭介は少し考え込み、言った。
『救出できるか?』
「難しいんじゃないかなぁ」
『無理なら諦めて中枢を探せ』
「分かった」
淡々とやり取りをしている間に、蜘蛛男達が汀を取り囲む。
汀はそこで、十字架を担いでいる男に向き直り、ニヤァと笑った。
「何で近づいてこないの? ほら、私はここだよ」
パンパンと挑発的に手を叩いて、汀は言った。
「鬼さんこちら、手の鳴る方へ!」
男達が一瞬制止して、一斉に束ねた包丁を取り出した。
その目が円形に見開かれ、けたたましい絶叫を上げる。
凄まじい勢いで汀を囲む円が狭まり、彼女は振り上げられた包丁を、無機質な目で見つめた。
そこで小白が、シャーッ! と鳴き、汀の肩の上で、風船のようにボコリと膨らんだ。
「小白……」
驚いて呟いた汀を覆うように、小白はムササビを連想させる形に変形すると、彼女の代わりに全ての包丁を受けた。
しかしそれは突き刺さることなく、キンキンキンキンと鉄にでもたたきつけたかのような金属質な音が響き渡る。
「凄いね小白! 私にはそんなことできないな!」
目の前の猫の頭をなで、汀は十字架を抱えている男を殴り飛ばした。
人一人が簡単に数メートルも吹き飛ばされ、壁にたたきつけられる。
転がった十字架を、女の子ごと拾い上げ、汀は外に向かって走り出した。
男達が絶叫を上げて追いすがる。
汀は、パラシュートのように広がった小白の両足を片手で掴んで、無造作に宙に体を躍らせた。
そこで、彼女達の意識は、ホワイトアウトした。
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