110:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:21:28.60 ID:CGXDMCHp0
第3話はここで終わりです。
続いて第4話を投稿させていただきます。
111:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:23:31.62 ID:CGXDMCHp0
圭介は、白衣のポケットに手を突っ込んだまま、病室をゆっくりと見回っていた。
その隣で資料をめくりながら、大河内が重い口を開く。
「こっちの区画は、もう駄目だ。お前の探してる適合者は、見つからないよ」
112:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:29:29.50 ID:CGXDMCHp0
「一番安定してるように見える」
「……バカを言うな。左半身と、下半身麻痺にくわえて、自殺病の第八段階を発症してる。もう長くはないよ」
「この子にしよう」
113:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:33:40.74 ID:CGXDMCHp0
4.蝶々の鳴く丘で
汀と小白が目を覚ました時、彼女達は、ゆっくりと落下しているところだった。
小白がまるでパラシュートのようになって、落下速度を低減しているのだ。
114:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:38:18.98 ID:CGXDMCHp0
「起きて。ね、起きて。もしかして死んでる?」
手を伸ばしてパシパシと女の子の顔を叩く。
「起きて」
115:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:41:21.65 ID:CGXDMCHp0
『汀?』
問いかけられ、汀は刀で体を切らないよう、注意して地面に降り立った。
そして手近な一本を手に取り、周囲の刀をなぎ払う。
116:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:44:23.14 ID:CGXDMCHp0
手に持っていた包丁を、それぞれ脇に放り投げ、手近な刀を、六本の腕に持つ。
刀と、刀を持った男達に取り囲まれ、汀は日本刀を構えて周囲を見回した。
そして、まだ磔られている女の子に、厳しい声で言う。
「起きなさい。あなたもマインドスイーパーなら、少しは私の役に立って」
117:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:46:56.11 ID:CGXDMCHp0
「異常変質心理壁であることは間違いないと思うけど……中枢どころか、心の外壁にさえたどり着いてないことは確かだよ。十五分じゃ間にあわないと思う」
『間に合わせろ』
「……最悪」
118:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:49:49.91 ID:CGXDMCHp0
「キリがない……」
毒づいた汀の肩で、小白が威嚇の声を上げている。
そこで、地面に崩れ落ちた岬の声が聞こえた。
119:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:52:36.27 ID:CGXDMCHp0
「な……何してるの? 心理壁を直接傷つけたら、この人の体にどんな障害が残るか……」
「どうせ死ぬんだから関係ないよ」
そう言って、汀は血の出ている部分に足をたたきつけた。
120:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:57:49.70 ID:CGXDMCHp0
*
気がついたとき、彼女達は打って変わって爽やかな、小鳥がさえずる丘の上に立っていた。
岬が体の痛みに耐え切れず、足元の草むらに崩れ落ちる。
彼女を一瞥してから、汀は木が立ち並んでいる丘を見回した。
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