113:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:33:40.74 ID:CGXDMCHp0
4.蝶々の鳴く丘で
汀と小白が目を覚ました時、彼女達は、ゆっくりと落下しているところだった。
小白がまるでパラシュートのようになって、落下速度を低減しているのだ。
「猫って凄いねぇ。夢の世界では、私より無敵なんだ」
感心したようにそう呟いて、汀は下を見た。
何かが、草のように、果てしなく続く荒野の中突き立っていた。
真っ赤な夕暮れ景色に、光を反射して煌いている。
それは、日本刀だった。
柄の部分が土に埋まり、ぎらつく刃を上に向けている。
「……攻撃性が強すぎるよ」
呆れたように言って、汀はまだ磔にされている状態の女の子に構うことなく、十字架を下に向けた。
ゆっくりと落下していって、十字架の木が、日本刀の群れに切り裂かれながら、地面と垂直に着地する。
汀は十字架の上に、器用にしゃがみこんでいた。
ポン、と音がして小白が元の小さな猫に戻る。
猫が右肩にへばりついたのを確認して、汀は、もう少しで日本刀の群れに串刺しにされそうになっている、磔られた女の子に声をかけた。
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