38:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 00:23:38.37 ID:CGXDMCHp0
「普通? 笑わせるなよ」
圭介は暗い声で、静かに言った。
「化け物さ。あの子は」
『その化け物を使って仕事をしているお前は、一体何だ?』
「普通の人間さ」
電話の向こうからため息が聞こえる。
しばらくして、圭介は麦茶を飲み干してから、ピンクパンサーのグラスを置いた。
『いいか高畑、汀ちゃんは……』
「あの子は俺のものだ。もう赤十字のサンプルじゃない」
彼の声を打ち消し、圭介は言った。
「どうしようが俺の勝手だ」
『そのために、あの子自身のトラウマを広げることになってもか?』
「ああ。だってそれが、道具の役割だろ?」
圭介は、息をついて言った。
「俺は医者だからな」
携帯電話の通話を切る。
部屋の中に静寂が戻る。
圭介は、携帯電話を白衣のポケットにしまうと、カルテに何事かを書き込む作業に戻った。
ピンクパンサーのグラスに入れた氷が溶け、カラン、と小さな音を立てた。
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