37:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 00:23:00.96 ID:CGXDMCHp0
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暗い診察室の中、圭介は隣の部屋……汀の部屋の明かりが消えていることを確認して、携帯電話を手に取った。
そして番号を選んで、電話をかける。
今日の遠出で、汀はとても疲れているはずだ。
深い眠りに入っていることは確認している。
「大河内(おおこうち)か」
汀に話しかけているときとは打って変わった、暗い声で圭介は口を開いた。
『こんな時間に何の用だ、高畑?』
「汀に投与する薬の量を増やしたい」
『いきなりだな。何かあったのか?』
ピンクパンサーのグラスに注いだ麦茶を飲み、圭介は続けた。
「今回のダイブの記憶を消したいんだ」
『堕胎の件か』
「汀がそれを気にかけている発言をした。今後の治療に関わってくるかもしれない」
『分かった。至急手配しよう』
「…………」
『高畑』
電話の向こうの声が、淡々と言った。
『汀ちゃんは、普通の、十三歳の女の子だ。それを忘れるなよ』
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