過去ログ - マインドスイーパー
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84:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 21:56:23.63 ID:CGXDMCHp0
 *
 
「遅くなりました」

圭介が車椅子を押しながら、長テーブルが置かれた広い会議室に足を踏み入れる。
既に、彼女達以外の人はそろっているらしく、水と資料が置かれた空間には、何も言葉がなかった。
汀は小さく肩をすぼめて、体を丸めている。
顔を上げようとしない。
その胸には、しっかりと、リードをつけられた小白が抱かれている。
リードの反対側は、汀の右手首に結ばれていた。
コツ、コツ、と万年筆でテーブルを叩いていた、議長席に座っている老人が、二人を一瞥して、そして汀の抱いている猫に目を留めた。
しばらくそれを凝視する。
入り口で止まった車椅子の上で、汀は伺うように、チラッとその老人を見た。
そして慌てて、怯えたように視線をそらして小白を抱く。
老人は万年筆でテーブルを叩くのをやめると

「はじめよう。高畑医師と、マインドスイーパーは、そこの空いている席に」

「かしこまりました」

圭介が頷いて、汀の車椅子を、老人と対角側に移動させる。
老人が、沢山いた。
全員鋭い表情で汀を注視している。
そして老人の隣に、喪服を着た女性が座っていた。
女性は立ち上がると圭介に向けて会釈をした。
しかし、自分を見ようとしない俯いた汀を見て、言い淀み、議長席の老人に向かって声を発する。


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