90:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:02:17.67 ID:CGXDMCHp0
「…………」
「これ以上理不尽なことってありますか? ありませんよ、ええありませんとも! 法の鉄槌を下したくて、何が悪いんですか!」
女性の声がしばらく会議室に響き渡っていた。
圭介は黙ってそれを聞いていたが、やがてクッ、と口元を押さえて、小さく笑った。
「何がおかしいんですか!」
掴みかからんばかりの剣幕の彼女に、彼は言った。
「あなたは法の鉄槌を下したいんじゃない。ただ単に、自分の中の鬱積した鬱憤を晴らしたいだけだ」
そう言って、圭介は覚めた目で秋山を見た。
「人はそれを、自己満足と言うんですよ」
「自己満足で何が悪いんです? 何がおかしいんですか!」
殆ど絶叫に近かった。
体を丸めて小さくなっている汀を一瞥して、彼女は高圧的に言った。
「あなたは仕事を請けるといいました。でも、それ以上私と娘を辱めると言うなら……」
「別に辱めてはいませんよ。思ったことを口に出したまでです。気に障ったのなら謝罪しましょう。そういう性格なので」
頭を下げずにそう言い、圭介は冷めた目のまま、微笑んでみせた。
「それに、レベル6を治療できるのは私達だけです。私は、『だから』仕事を請けることを決めました。あなたの個人的感情など、極めてどうでもいい」
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