40: ◆Neko./AmS6[sage saga]
2011/10/27(木) 22:32:13.90 ID:jX4bSWxdo
送った荷物が元々少なかったこともあって、部屋は夜までには整理がついた。
引越しの挨拶回りもできれば昨日のうちに済ませておきたかったんだが、
日曜日だったせいか、何しろ不在の部屋が多くて思うようにはいかなかった。
俺の隣の部屋なんか表札もねぇし、一体どんな人が住んでるのかさえ分からねえ。
それはそれとして、ついに営業所へ出社する日がやって来た。
本社で研修を受けたとはいえ、これからが本番だと思うとやはり緊張するもんだ。
札幌営業所は、新人の俺を含めても総勢六名の小所帯。
そのうち一人は女性で、営業所の事務関係を一手に引き受けている。
そう聞くとベテランのおばちゃんみたいに聞こえるかもしれねえけど、
実は俺よりも三つ年下で、見た目は今どきのアイドルも顔負けの可愛い子だ。
顔が可愛いだけなら掃いて捨てるほどいるが、彼女の場合は……
「高坂さん、わたしの顔に何かついてますか?
本社の研修で一通り教わったとは思いますが、今日は初日でもありますし、
午前中はわたしの方から営業所のこととか説明させてもらいますね」
彼女は釧路の高校を卒業すると、現地採用で札幌営業所に昨年入社した。
というわけで俺より年下であっても、やはり先輩には違いない。
それは構わないんだが、桐乃やあやせと同い年っていうのが俺には……。
営業所への出社初日の今日、午前中は彼女からおもにレクチャーを受けて、
午後からは彼女を見習って得意先や取引先との電話応対。
他の先輩に同行しての得意先回りは取りあえず明日からということになった。
そんなわけで、今のところ営業所に残っているのはなんと俺と彼女の二人だけ。
そのうえ、机も隣同士……
「高坂さん、その前に、机に向かって電話を取ってる振りをしてください」
「……あの、一体それはどういう意味なんでしょうか?」
「どういう意味って、写真を撮るんですがそれが何か」
先輩は紺色の制服の上着のポケットから自分の携帯を取り出すと、
当然のように俺にレンズを向けた。
わけが分からん。
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