52: ◆Neko./AmS6[sage saga]
2011/10/31(月) 00:42:05.57 ID:o3htaoiVo
寝袋の中で静かに瞼を閉じると、慌ただしかった今日一日が想い起こされる。
あやせと同い年で、底抜けに明るくて可愛い年下の先輩。
まさか、俺の部屋の隣りに住んでいたとは思いもしなかったけど。
「お兄さん……もう、寝てしまいましたか?」
薄闇の中、あやせが小さな声で囁いた。
「いいや、まだ寝てねえよ。……どうした、眠れねえのか?」
「わたし、お兄さんを好きになって……本当によかったです」
「……そっか……ありがとうな」
翌朝、俺は部屋の合鍵をあやせに預けてから家を出た。
新入社員のうちは誰よりも早く出社するもんだと分かってはいるんだが、
学生のあやせと一緒にいると、つい俺まで学生気分に戻っちまう。
営業所に到着すると、隣の先輩はすでに出社していて掃除を始めていた。
それほど壁が厚いわけでもないのに、いつ家を出たのかまったく分からなかった。
一声くらい掛けてくれてもいいのにな。
「おはようございます、先輩。昨日は、どうもご馳走さまでした」
先輩は俺の顔を見るなりニヤニヤする。
「どういたしまして。あやせちゃんは、今日帰っちゃうんですか?」
「どうですかね……。一応は合鍵を渡しておいたんですけど」
「ふ〜ん。なるほど、そういうわけですか。
現地妻のわたしとしては、そのあたりがとても気になるところなんですけど」
朝っぱらから先輩のキツイ冗談に軽く付き合ったところで、
ちょうど営業所のドアが開いて他の先輩たちもどやどやと出社してきた。
俺は先輩との会話を惜しみつつ、お湯を沸かすために急いで給湯室へ向かった。
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