70: ◆Neko./AmS6[sage saga]
2011/11/06(日) 22:05:37.75 ID:hxzUZCi2o
「ねぇ、高坂さん……」
「はっ、はひっ。……な、何でしょう?」
「欲望に負けてわたしを襲ったりしたら、あやせちゃんに報告しますからね」
俺の引きつった笑いと、先輩の含み笑いとともに俺たち二人きりの夕食が始まった。
先輩はほんの少しのビールで頬を桜色に染め、それを見た俺は必死に料理を口に運んだ。
空きっ腹にビールは回りが速いことくらい俺だって知っている。
それにしても、先輩の料理はお世辞を抜きにして、見た目も味も本当に上出来だった。
「どうですか? 高坂さんのお口に合いますか?」
「口に合うもなにも、冗談抜きで本当に美味いっすよっ」
「じゃあわたし、いつでも高坂さんのお嫁さんにしてもらえますね」
先輩の冗談とも本気ともつかない台詞に、俺は咄嗟に返す言葉を失った。
料理が喉に詰まりそうになり、慌てて胸を叩くとようやく胃の中に落ちていった。
「あの、申し訳ないんですけど、あんまり俺のことをからかわないでください。
先輩からそういう言われ方をすると……なんつーか……冗談で済まなくなりそうなんで」
「ごめんなさい。わたし、少し酔っちゃったみたい。……忘れてください」
「今日の先輩、いつもと違って少し変じゃないですか?
それほど酔っているふうにも見えないし、あやせが泊まったとき、あいつと何か……」
先輩は久しぶりに思う存分女同士でおしゃべりができたと喜んでくれたし、
一方のあやせも先輩と話ができて本当によかったと嬉しそうに俺に言っていた。
部屋で二人がどんな話をしようと、俺は女同士の話に首を突っ込むつもりは毛頭なかったし、
あやせとは帰ってからも何度か電話で話したけど、そのときの話が出ることもなかった。
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