81: ◆Neko./AmS6[sage saga]
2011/11/09(水) 01:32:20.03 ID:Kno1wkE2o
高三になると桐乃がまだ留学中だったり黒猫が俺と同じ学校に入学してきたりで、
俺とあやせの接点というのは思ったほど多くはない。
環境の変化というか、俺の気持ちがあやせから黒猫に傾いていたことも原因かもしれん。
しかしそれも、夏休みの終わりと一緒に終わってしまった話なんだけど。
それまで俺の話を黙って聞いていた先輩の表情がにわかに険しくなったかと思うと、
グラスに残ったビールを一気に飲み干して吐き捨てるように言った。
「――馬鹿みたい」
「今、馬鹿みたいって……?」
「ええ、たしかに馬鹿みたいって言いましたけど。
別に高坂さんに言ったわけじゃありません。……黒猫さんが馬鹿みたいって言ったんです」
別れてしまったとはいえ、かつての恋人を馬鹿呼ばわりされれば俺だってムッとする。
しかし、なぜか先輩の悔しそうな顔を見て、俺は喉元まで出掛かった言葉を飲み込んだ。
「ごめんなさい。高坂さんの彼女だったのに酷いことを言ってしまって」
「いえ、それはいいんですが……どういうことなのか教えてもらえませんか?」
先輩は小皿の料理を口に運ぶと、再び冷蔵庫から缶ビールを取り出した。
完全に居酒屋と化したこの台所は、俺から先輩に対する遠慮という概念を捨てさせた。
この人なら俺は何ら包み隠すことなく腹を割って話せるかもしれない。
そう思わせるだけの魅力がこの先輩にはあった。
「ねぇ先輩、黒猫が馬鹿っていうのはどういうことなのか教えてください」
「馬鹿を馬鹿って言って何が悪いんですか?
別に、黒猫さんを馬鹿にして馬鹿って言ったわけじゃありませんよ」
「それじゃあ、黒猫は一体どういう意味の馬鹿なんですか?」
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