過去ログ - 上条「なんだこのカード」 SEASON 4
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13:確かに、土日で終わらせるとは言った[sage]
2011/11/27(日) 23:59:39.73 ID:nf/CzDRIo
既にその場所は、市街と言える状況では無い

斃れている者は死者であり、生きている者は正気を保っていられない

超能力や魔術と言える程度のものならば、"オカルト"という概念が彼らを納得させるが

「なんで……。何が、どうなっちまってるんだ?」

先程まで隣に居た人間に破壊するものとなったフィアンマの体液が降りかかり、悲鳴を上げて、すぐさまその声も止んでしまった

それなりの知識のあるロシアの魔術師の生き残りが、こう呟いてしまったのも無理は無かった

到底人間には理解できようもない領域を占める、世界中の既知を全て内包する"ホルス"の塊を前に納得しようものなら、それは"地獄"という言葉しかなかった

そして現実を地獄と理解したところで、どうして平然といられようか

元からの市民も外からの来た者達も、最早関係なく我を生かすために逃げ惑い、死に逝く

そんな文字通りの地獄的な空間となったモスクワ市を、同じく平然としていられない面持ちで見守るのは、その外側

核以来一気に攻撃の手が弱まった元ロンドンからも、その様子は、この世に在ったどの建築物よりも大きな威圧感と恐怖を与える神の様子は、見える

何十キロも離れた地点ではあるが、見えてしまう。つまり、恐怖も伝わってしまう。この浮翌遊したモスクワ中に

その恐怖の塊を遠景としてみる実質的なロンドンの守護者である神裂火織の視界には、しかし、垣根帝督の未元物質という"神の力"の模倣の模倣を扱っている所為か、異形なもう一つの小さな塊を察知する

"相対する者"でもない第三の、そしてそれに類する力の、小さすぎる集点

本来ならば、そこから破壊する神に負けないぐらいのパワフルさを感じ取れるはずなのだが

神裂(しかし、何故でしょうか)

戦闘に巻き込まれて意識を失った人をその肩で支えながら、彼女はその点に意識を向けた

神裂(あの点には意識が、ない。感じられない)

彼女の周りでは、慣れない弱重力の状況にバランスを崩す者も多く、疲れきって死者なのか生者なのか分からない表情の人々が座りこんでいる

それらと、その点は同じように感じられた。つまり

神裂(黒く悲しい存在からは破壊と消滅の意識が、それに対抗するよう向かっていく存在からはそれに対抗しようと言う意識が、それぞれ滲み出ているというのに)

肩で支えていた焦点の合っていない瞳を開いたままの人を廃墟の中から木材を集めた焚火の近くに、彼女は座らせた

神裂(あの点にはそんな意識が感じられない。疲れ切った人々のような。……いや、流されるがままの人形とでも言えばいいのでしょうか)

それは、適切な表現とも言えた

チカチカと光が瞬く中、ただ中に浮いているだけで特別な動きもしない。風が吹けば飛んでいきそうな儚さだけが、感じ取れた



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