過去ログ - 女教師「折角のクリスマス・イヴだし、付き合ってあげる」
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12:nu[saga]
2011/11/09(水) 02:19:48.96 ID:JenVCM9w0
「そりゃそうか。
彼女が居たら、寂しくクリスマスを一人で過ごしたりしないわよね。
……分かってはいた事だけどね」

口調は元に戻っていた。
語調も今までと似た感じだった。
だけど、少し違っていた。
先生は無理をしているんじゃないか。
と、何となくそんな感じがした。

聞いてはならない事だと分かっていた。
口に出してしまえば、この時間は終わりになる事も分かっていた。
それでも僕は先生に訊ねていた。
僕は少し不器用なのかもしれない。
いや、不器用ってのは言い訳っぽいな。
単に僕は重い空気に耐えられない小さな男だってだけだと思う。

「先生こそ、どうしてクリスマスに一人なんですか?」

怒られるかと思っていたが、先生は小さく苦笑していた。
それから、長い髪を掻き揚げ、眼鏡を鼻の頭に掛け直すと小さく口を開いた。
その口調は寂しそうなのか楽しそうなのかは分からなかった。

「まあ……、女も三十過ぎると色々あるって事よ」

「そうですか……。そうですよね……」

そうだ。色々ある。色々無いはずがない。
生きてるんだから。
生きて、家族を養っているんだから。
それに僕が干渉しようだなんて、何ておこがましいんだろう。
自分の不躾さに嫌気が差し掛けたけど、先生は話を続けてくれた。
その色々な事を僕に教えてくれるために。

「先生もね、いつも面白おかしく生きているわけじゃないのよね。
辛い事もあるし、生きているのが嫌になる事だってあるのよ?
でも、そういうことばっかり考えててもさ。
ますます辛くなるだけだしさ。
だから、さ……」

先生は僕に初めて見せる表情をしていた。
夜の空気がそう見せているんだろうか。
それとも、僕の心の中の何かが変わってきてるんだろうか。


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