過去ログ - 魔法少女とその考察
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27:物書き ◆MAGtVGUz8I[age]
2011/11/13(日) 00:18:39.08 ID:3kp+lkFe0

あたしが天界に着てから一ヶ月が経過した。
リーニアスさんに、仕事を教わって、今日。
神の力を継承する。

「ちょっと複雑です。あたしが力をもらわなければリーニアスさんは生きていられるのに…」
「まあ、俺の体がもうボロボロだからな。それに、今日は俺たちのあとにも継承が控えててルワージュがいらいらしてるからな」
「あたしたちの後?」
「ああ。まあ気になるなら見ればいいと思うぞ。どうせ今日はアリスはルワージュの神殿で夕飯だろうしな」
「そうですか…」
あたしとリーニアスさんが話しているとちょっと不機嫌そうな顔のルワージュさんが歩いてきた。
「2人とも準備はいいですか?」
確かにこれはイライラしてる…。うん、急いだほうがいいかもしれない。
「はい」
「おう。ルワージュ、どうせ後使えてんだろ?はじめてくれてかまわないぜ?」
「ありがとう、リーニアス。君と別れるのはさびしいよ…」
「ルワージュ、今までありがとうな、本当に」
リーニアスさんとルワージュさんはしばらく2人で話していた。
あたしはそれを見ながら、不思議な気分になった。
リーニアスさんという存在はもう消えてしまう。
だから、最後の時を一緒にすごしたいんだろうかな?
「さて、時間ですしそろそろやりましょうか…」
ルワージュさんは潤んでいた瞳を拭いてあたしを見た。
「神の力の継承を行う…我、創世神の名において魔法神の力の器を変えることをここに…」
リーニアスさんから何か光る玉が出てきた。彼はそれをしっかりと手で握ると、あたしに差し出してくる。
でも、渡そうとするリーニアスさんの体はだんだんと消えていく。
あたしは、思わずリーニアスさんの体に、消えかけている体に手を伸ばした。
せっかく出会えた彼を、忘れたくなくて、消えることが許せなくて。
今までたくさんの人を救ってくれた彼がいなくなることが、嫌で。
でも、あたしが腕を伸ばすとその腕を、彼は玉を持つほうの腕で握った。
「リーニアスさん…!」
玉はあたしの手に触れると溶け込んで消えた。
すると、消えかけていたリーニアスさんの体がますます薄くなっていく。下半身はもう見えない。
「アリス、がんばれよ…。そして、できれば…できれば俺を覚えていてくれ…!」
あたしはリーニアスさんの言葉を絶対に忘れない。
これから先何年生きようと、彼の言葉は絶対に。

だけど…変わりにあたしは、その日、なにか大切なモノをなくした。
それが何かは、覚えていない。


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