過去ログ - あかり「それならあかりに恋してよ!」
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37: ◆qvIZyIvV7w[saga]
2011/11/18(金) 19:43:40.85 ID:J6PL+c0g0

中学生の頃と違って、毎朝起きる時間はだいぶ遅くなった。
けれど、起きる時間は遅くとも電車の時間はきっかり決まっているから、登校時に関しては中学生のときよりも随分と不自由になったと思う。そして高校に入学してからもうだいぶ経つのに、私は未だに満員電車というものに慣れていない。

がたたん。
以下略



38: ◆qvIZyIvV7w[saga]
2011/11/18(金) 20:59:16.05 ID:J6PL+c0g0
『次はナモリ前、ナモリ前です。お出口は左側――』

だんだんスピードが遅くなってきて、やがて止まる。
次の駅で降りなきゃ。
そんなことを考え、つり革を握る手に力を込めかけたときだった。
以下略



39: ◆qvIZyIvV7w[saga]
2011/11/18(金) 21:03:24.77 ID:J6PL+c0g0
あかり「……行っちゃった」

ぽつり、呟く。
電車は私を置いて、走って行ってしまった。もう見えなくなりそうな電車の後姿から顔を逸らすと、ホームにはもう、ほとんど人の姿はない。皆会社だったり学校だったり、目的の場所に急いでいたから。ここでもまた、誰からも置き去りにされてしまったらしかった。

以下略



40: ◆qvIZyIvV7w[saga]
2011/11/18(金) 21:08:09.06 ID:J6PL+c0g0
サボろうかな。

そんな考えが、あまりにも自然にあかりの中で浮き上がってきた。
私は一瞬そのことに驚いたものの、けれど一度くらい――私の中の誰かが、私にそんなふうなことを囁いた。

以下略



41: ◆qvIZyIvV7w[saga]
2011/11/18(金) 21:12:51.02 ID:J6PL+c0g0
―――――
 ―――――

駅を出ると、何度か家族で来たことのある場所が広がった。
学校帰りに寄り道することはあっても、わざわざこの辺りまでは来ないのだ。
以下略



42: ◆qvIZyIvV7w[saga]
2011/11/18(金) 21:19:34.22 ID:J6PL+c0g0
知らない場所を歩くのは楽しかった。
一人でいるのは少し寂しい気もしたけれど、制服姿だということを忘れて知らない場所で自分の思うままにまだ開いていないお店や、開いたばかりの眠そうなお店を覗いて回った。

商店街も家の近くにある錆びれかけた商店街よりずっと大きくて活気があった。
そこをまわっていると、気が付けばもうとっくに一時間目が過ぎていて、休憩の時間になっていた。
以下略



43: ◆qvIZyIvV7w[saga]
2011/11/18(金) 21:28:27.76 ID:J6PL+c0g0
本当に、あかりってだめな子だと思う。
少なくとも、自分の大切ななにかに関してはとことんだめだ。

ずっと自分ではなく他人を優先してきた。
私はそれでいいと思っていた。自分は傷付いてもよかった。けれど、他人を――ちなつちゃんの気持ちを優先することで、結局ちなつちゃんは傷付いた。結衣ちゃんのことを想い続けて、傷付いてしまった。だったら私がちゃんとすぐに自分の気持ちに気付いて告白していれば。そうも思うけれど、それだって私のエゴだ。
以下略



44: ◆qvIZyIvV7w[saga]
2011/11/18(金) 21:36:55.58 ID:J6PL+c0g0
今会ったらきっと、私はちなつちゃんの存在がちゃんとあることに安堵する。
けれど今会ったらきっと、私はちなつちゃんの存在が消えてしまうんじゃないかと、そんな錯覚に陥ってちなつちゃんに縋ってしまうかもしれない。

あかり「……もう」

以下略



45: ◆qvIZyIvV7w[saga]
2011/11/18(金) 22:22:42.87 ID:J6PL+c0g0

いっそ、自分だけのことを考えられたら。
たまに本気でそう思うときがある。

学校のことも、友達のことも、京子ちゃんや結衣ちゃんのことや、それからちなつちゃんのことも、何も考えずにただ自分だけを守れるのなら。
以下略



46: ◆qvIZyIvV7w[saga]
2011/11/18(金) 22:25:42.70 ID:J6PL+c0g0
朝の寒さは太陽の光がだいぶやわらげてくれていた。
私は立ち上がる。

さすがにもう学校に戻らなきゃいけないかな。

以下略



47: ◆qvIZyIvV7w[saga]
2011/11/18(金) 22:26:52.96 ID:J6PL+c0g0
短いですが投下終了
ここまで見てくださった方ありがとうございました

それではまた


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