76: ◆qvIZyIvV7w[saga]
2011/11/27(日) 23:52:11.32 ID:+zUUnEcZ0
あかりちゃんはいつも私に優しい。
たとえば、小さいことでもすぐに何でも気付いてくれるし、私のしたいことはちゃんとわかってくれるしその時かけてほしい言葉を絶妙なタイミングで口にして私を安心させてくれる。
友達としては百点満点。
いや、きっとそれ以上。
――――だけど。
「ちなつちゃん、今日はあかり、一緒に帰らないね」
「えっ……」
結衣先輩が「あかり?」と首を傾げた。
あかりちゃんは自分のことを、なんとも思ってない。自分が傷付くことに対して、知らない振りを決め込んでいる。
「だってちなつちゃん、結衣ちゃんと仲良しだもんね」
「……そうだよ」
今日は私、結衣先輩と一緒にいたい気分なの。
そして今の私はきっと、あかりちゃんに対してひどいことをしている。
あかりちゃんが「あかり、みんなが仲良くしてくれて嬉しいよぉ」と小さく笑った。
結衣先輩が困惑したように私とあかりちゃんの両方を見比べる。
私は、あかりちゃんに嫉妬してほしかった。
嫉妬してほしい、というよりも。
たまには自分の気持ちを隠さずに、ぶつけてほしかった。
「じゃああかりは早めに帰るよ、京子ちゃんもいないから……」
普通逆でしょ。
京子先輩もいないってことは私と結衣先輩が二人っきりになっちゃって、それで――
イライラしてる自分が嫌だ。
そして、あかりちゃんに対してもイライラを感じる自分がもっと嫌だった。
「……うん、バイバイ」
「……ちなつちゃん、いいの?」
あかりちゃんの背中が部室から消えてしまってから、ぽつりと結衣先輩が言って。
私は「わかんないです」と答えた。
わかんないわけなんてなくって。いいわけなんてなくって。
だけど、私はどうすればいいかまったく判断がつかなかった。ただ、あかりちゃんを傷付けたいわけではないのに。
「行かなくていいの?」
「へ?」
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